夜  話  
皎が自分の仕事の事を話してくれた事は、今まで一度だってありませんでした。


ですから、わたしにとっては皎から話をしてくれるだなんて、なんと言う風の吹き回しなのかと思うような出来事なのです。


「……知りたいって顔だよな。」


皎が象牙の肌にきれいに彫り込まれた笑みを浮かべて、わたしに尋ねます。


そしてもちろん、わたしの返事が否であるはずなど、ありませんでした。


「お話、していただけるのよね。」


少しおどけた返答をすると、わたしは身体を皎の方へと向けながら、心地よいように座りなおしました。
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