夜  話  
「物は届く。想いもな。……だが、人間は……。」


やはり人は彼の世界へは、行けはしないのです。


でも。


それでも、と。


望んだエンの気持が、わたしには痛いほど理解できました。


「ずっと、望みをいだくことを自分に禁じてきていた彼女が、いまわの際にたったひとつだけ望んだ夢を、おろかと嘲笑うことも、同情することも、わたしには違うという気がするわ。ただ、激しく心が痛いと感じるのではあるけれども。」
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