夜  話  
ひやりと、優しい冷たさを残して皎の指が離れると、わたしは知らず小さく声を上げてしまいました。


「あ………」


そうして、自分のあげたその声で、我に帰ったのでした。


「あ…ご、ごめんなさい。わたし、また……」


羞恥に、熱くなった頬を手のひらでおおいながら、わたしは皎に謝罪しました。


「いいさ。気にするな。…どうしたらいいのか、わからなかったけどな。」


皎は、そう言うとわたしの顔を覗き込むように、秀麗なかんばせを近付けました。
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