夜  話  
わたしにとっては、長く、長いひと月でした。


しかし、彼に、皎にとっては、昨日の今日、だったのです。


ただ、それだけのことで。


わたしの心は。


先刻までの、あの刺すような哀しみを、感じてなどいなかったかのように。



浮き立ったのでした。


「…うれしい。」


あふれでる喜びは、わたしに皎に抱きつくという、信じられない行動をさせました。


「えっ!って、おい。うれしいって、何故?」


突然、抱きつかれたにもかかわらず、バランスを崩す事なく、わたしを抱きとめ、皎はわたしに尋ねました。
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