my catty girl~もし私がネコになっても~



―翌年、春


「ノン、お利口さんだったね」

満開の桜が舞い散るもとで、学はひとつの作品を描き終えた。

「それにしても…描いてるとますます…あのネコ、思い出すよ」

そう言って学は笑った。ノンは捨てネコで、偶然、学の家の近くで発見されて飼うことになった。

それに不思議とすぐに懐いた。

「学…くんもお疲れさま」

私は依然として学を呼び捨てにできない。今更っていう感じもあって恥ずかしい。

「春乃もおつかれっ」


―私ね、
学くんの絵描き姿すきだよ―

ふと、そんな風に言ってみたことがあった。

すると学は、ありがとうと笑って言った。

―人が、
何かに打ち込んでる姿は俺も好きだよ。春乃にはフルートだね―



「そろそろ帰ろうか」

「うん」


少し自信を持てそうな

そんなきもちになったよ


そして私はまた問いかける

「ねぇ」

「ん?」


「もし私がネコになったら、学…はどうする?」


今度こそ自信を持って、答えに耳を傾けられる。


「春乃は何でそういうこと考えちゃうかなぁ…。でもまぁ、何も変わらないよ」


また何度、春が過ぎて、寒い寒い冬が訪れても―。




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