my catty girl~もし私がネコになっても~


冬の6時は夏とは違って真っ暗。

夕闇の中を冷たい空気でいっぱいにして、まるで人と人とを近付けようとするみたい。

私と学の距離も、手をつなげるくらい近い。

学はいつもとまるで変わらずに接してくるし、私も知念麻美のことは半分忘れかけていた。もう半分は気に掛けながら…


「公園までもうすぐだね」

学が白い息をふわっと浮かべた。

「うん。いつもの公園って言ってもちょっと久しぶりじゃない?」

「そーだなぁ、そういえば寒くなり始めてからは1度しか来てないね」

「前にきた時にカゼ引いちゃって以来ね。懐かしいなぁ」

「懐かしいって程ではないだろ」

そうだね、と笑った。

何一つ面白い話なんかじゃない。だけど心がこんなにじんわりと温かいのは何故なんだろう。

そして私と同じように学もそんな風に感じてくれていたら…そう願う。


公園の入り口にさしかかって、遠くに見えていた無数の青白い光が、今は目の前に溢れる。

「わぁ…」

並木道に足を進めながら学が呟いた。

「ここまでとは思わなかったなぁ」

「ほんとだねぇ…」

それはまるで天の川のようで、呼吸すら忘れそうな輝き。

「人もほとんど居ないし、ここに来て正解だったね」

「だなぁ。明日も人が少ないといいけど」


一瞬、何も聞こえなくなった。

それは…明日、知念麻美と行く場所へ対する思い。今ここにいる私には関係のない…思い…

私だけを見て

私の為だけに笑って?

ねえ

さっきみたいに。

いつもみたいに。


ねえ…

「…春乃?」
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