追憶 ―箱庭の境界―
「…そう。寂しくなるわね…」
翌朝、黒猫が主人の元に帰ると言い出した為、リフィル様は心から残念がり寂しそうだった。
「おや…猫ちゃんはお帰りですか…?」
夕方しか現れないはずの私が部屋に現れると、一瞬にして部屋中に緊張感が生まれた。
「…寂しいなら…、私が話し相手になりますよ…?」
普段通りの笑みを浮かべて私はリフィル様に言った。
しかし本心でもあった。
「――何をしに来たの!?用はないはずです!」
でも、リフィル様は怒鳴った。
私は、ふふふっ…と笑う。
とても、悲しかった。
「当然の事」なのだろう。
もう彼女が私に心を開く事は、生涯無い。
私の胸の中の、
大切なリフィル様の「心臓」。
「心」はここに在るのに、
生涯閉ざされたままなのだ。
…貴女を手に入れても、
私たちは、幸せにはなれないのでしょうね…
「…タビちゃん…!?」
リフィル様の声で、我に返る。
気が付けば、
私の足元に仔猫が擦り寄っていた。
…ニャッ?
『アタシってば、にゃにを?』
思いもよらぬ行動だった。
アンネが居たかの様だった。