追憶 ―箱庭の境界―
仔猫も無意識に行動していた様で、敵に対する自分の行為に驚き、私を見ていた。
動物は人の寂しさを見抜き、相手を慰めると聞いた事がある。
アンネも、そうだった。
優しい仔猫。
きっと主人も優しいでしょう。
私は黒猫に手を伸ばす。
仔猫は捕まるまいと小さな体で暴れだしたが、簡単に私の両手に捕まった。
「ちょうどいい…。今からルリ島へ行くんですが…あなたも行きますか?」
『嫌よぅ、お家に帰りゅ~!』
仔猫は手の中で暴れた。
どうしても、連れて行かなくてはならなかった。
まだ…
まだ見せたい物が在る…
アンネという変わった猫とはいえ、猫の扱いには多少の経験がある。
私は仔猫の首根っこを捕まえて宙吊りにした。
「ルリ島のお妃様にも、遊び相手がたまには必要でしょう…?」
『アタシ帰りゅにょ~…』
仔猫は必死に暴れた。
「タビちゃん…!」
そう心配そうに仔猫を呼ぶリフィル様を残して、私と仔猫は部屋を出た。
反乱軍リオン様が、
城に攻め込んで来ない。
早く早く、殺して。
証拠が揃わず、
確信が持てないと言うのなら、
全部…
全部、見せてしまえばいい。
ねぇ、アンネ?