なんでも屋 神…第一幕

「ちょっと神君、誤魔化したでしょ！ちょっ…。」



携帯を持って一葉に背中を向け、舌を出しながら部屋のドアを閉めた。



グッドタイミングで鳴り、今も鳴り続けている携帯に出る



「神、これから時間あるか？」



前置きも無しで電話してきた人物は、この低い声だけで分かる。



「昨日電話返せなくて悪かったね兄ぃ。これからは特に何もないよ。今？［アポロ］。分かった。」



兄ぃの電話はいつも簡潔だ。携帯を二つに折りたたみ、恐らく不機嫌であろう一葉の居る部屋に戻る。



静かにドアを開けて部屋に入ると、一葉はこちらを見向きもせず、歌詞の流れるテレビの前に立って歌っている。



聞いた事はない曲だが、聞いていれば女の子の失恋ソングだと言う事が分かる。



はぁ…。