なんでも屋 神…第一幕
出汁に使われたとは夢にも思っていない一葉は、広く重厚なインテリアにご満悦な様子。



「なぁ〜兄ぃ。俺なら心配しなくても付いて行くから、一葉は帰してくれよ。」



俺だって羽尾の事を探らなきゃならないんだ…俺にも付いていく理由がある。



「ん?何の事だ?」



クッ!分かってるくせに涼しい顔しやがって!素知らぬ顔をしている兄ぃに段々腹が立ってきた。



「俺の知ってる黒沢一樹は、こんな大名行列を好まないで、孤独を愛する格好の良い男だったけどな。」



そう言うと俺は後頭部で手を組み、茶色い本革のシートに身を預けた。



その次の瞬間、何の前触れもなく車はゆっくりと路肩に停まった。



「おい小僧、兄貴の客人だと思って黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!」
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