なんでも屋 神…第一幕
その中でも一葉と思われる人物は、意味を理解しているようだったのがせめてもの救い。



冷やかしという名の沸き立つ歓声を気にも止めず、一葉を少し離れた場所に呼んだ。



一葉は俺の言葉に頷き、仲間達に別れを告げて俺の後を付いてくる。



向かう先は俺の城。幸いな事に、メインストリートからは数分の場所に位置する俺の事務所。



ホテルに向かうものだと思っていた一葉は、少し戸惑っているようだった。



無理も無い、何せ母親の働いている会社と同じビルに入っていくのだから。



「あの、貴男は誰なんですか?」



不安げに後ろを付いてきた一葉に、敵意の無い優しい笑顔を見せ、ボロいエレベーターに乗って事務所に入って行き、デスク前のイスに座らせた。


「渡瀬一葉さんだね。」


俺もヒロと同じく、目の前の女の子が一葉だと確信していた。俺は母親からの依頼を隠さずに全て話した。



何かを隠しても、この親子に解決策は無い。
< 14 / 309 >

この作品をシェア

pagetop