なんでも屋 神…第一幕
現代ヤクザの力量は、金銭力といざという時の武力…そして、全てをもみ消してしまえるコネクション。



では、何故羽尾が[神堂組]の頭と言うポジションに収まっているのか?答えは簡単。それはヤクザ特有の絶対的な縦社会によるものに他ならない。



兄ぃの評価が上がれば、当然のように羽尾の評価も上がる。特例(破門や絶縁)を除き、弟分が兄貴分を抜く事はありえない。そうやって羽尾は、今の頭の地位まで上り詰めたのだ。



…これで大凡の話しは見えた。



「これで話しは終わったかな?じゃあ楽しく呑もう。何時も兄貴達と呑んでるから、歳の近い奴と呑むのは久しぶりなんだ。今日は付き合ってくれよ。」



そう言って笑った辰徳の顔は、何処かに幼さの残る無垢な笑顔だった。



格好は赤のセットアップ。髪型は特に長くもなく短くもない茶髪を下ろしている。特徴と言えば、頬に有る十センチ程の縫い傷。古い傷なのか、笑ってもそこだけはピクリともしない。
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