なんでも屋 神…第一幕
此処はヒロのホームグラウンド。その何時もは見せた事の無い怒り顔と怒声に、周りにいる若い奴等が一斉に此方を振り返る。



こんな事をすれば、スカウトの仕事に影響を及ぼすのは間違いない。でも、裏を返せばそんな事を計算出来ない程に、ヒロはキレているんだろう。



「お前には関係ねーだろ。これは俺と一葉の問題だ。それも、もう終わったけどな。」



一葉の早足で遠くなっていく足音と逆に、タクシーを降りたノリ。その横で、今まで黙って見つめていたJが此方に走ってくる。



ノリが俺を押さえたが、俺は元々暴れてなどいない。ヒロは自分を押さえているJに、今あった一部始終を話している。



「もっと格好良い男だと、ヒロさんと秀太さんから聞いてたのに…見損ないましたよ神さん。」



俺だって人間だ。情けない所もダサい所もある。一葉…ごめんな。



「お前の勝手な見込み違いだJ。お前は早く一葉を追いかけろ。行くぞノリ。」
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