なんでも屋 神…第一幕
寒さも本格的なものとなり、軒先に出したテーブルが片付けられた例のオープンカフェ。



上部にガラスを填め込んだ洒落た白いドアを開けると、裏に設置されたベルが小気味よく店内に鳴り響く。



出迎えたウェイターにウーロン茶を告げ、道路が見渡せるテーブルに座っているノリの席へ。



「珍しいな、三分の遅刻だぞ。」



不味いコーヒーを、苦々しく飲んでいるノリからの嫌み。



「そうか、もう少し遅れても良かったんだけどな。」



席へ着くなりタバコに火を付けて、ミチルのマンションに目を移す。



先程のウェイターが、冷たいウーロン茶を運んでくる。ノリは裏切り者を見るような目で、俺と涼しげなウーロン茶を睨んだ。



「此処に来たら、不味いコーヒーを飲むのがお決まりだっただろ。」



…誰が作ったんだそんな決まり?一本目のタバコを灰皿に捨て、美味しいウーロン茶で喉を潤す。



「コラコラ、そんな決まり誰が作ったんだ?それより、よく生きて戻ってこれたな。」
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