なんでも屋 神…第一幕
確率は6分の1…先手の俺が得だとは思えない。さっきのように、一発目にくる事もある。



固唾を呑む観衆…虚飾の仮面の下にある表情は、既に冷たく凍り付いている。



ゆっくりだが確実に、少しずつ人差し指に力を込める。





ガキン!





ハンマーが鈍い金属音を響かせながら、元の位置に戻ると共に、冷や汗が額から引いていく…。



そのままの状態で、コンクリートの床を滑らせて相馬に渡す。



不自由な右手の代わりに、左手でコルトを拾い上げる相馬。



額に滲み出ている冷や汗が、小刻みに震えている左腕が、冷えた空気に乗って相馬の動揺を伝える。



慣れない左親指でハンマーを起こす相馬。だが、その瞳には俺を憎む紅蓮の炎が宿っている。





ガキン!
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