なんでも屋 神…第一幕
ガタガタと奥歯を鳴らしながら、足下に転がっているコルトを拾おうとする相馬だったが、二回、三回と上手く掴めず、コンクリートの床にぶつかって金属音が響く。



漸くグリップを握り、腹の前までコルトを引き上げた。



痙攣する頬を伝う涙…黒紫に変色して震える唇に、血の気の引いた顔色。


腹の前に持ち上げたコルトに落とされる瞳の先。局部から流れ出した尿が、スーツのズボンをより黒く染めていく。



俺がタバコを一本吸い終わると、何かを思い出したように顔を上げ、相馬は震える両腕で漆黒の銃口を俺に向けた。



「馬鹿が…あのまま俺を弾けば良かったのに…やはりアンタが死ぬべきだ!」



これで勝負は終わった…冷笑を浮かべたまま、相馬に鋭い冷眼を放つ。




相馬は迫り来る死の恐怖から尻尾を巻いて逃げ出した…それでは俺には勝てない。



「相馬…お前の負けだ。」
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