なんでも屋 神…第一幕
一葉の手には無数の絆創膏が貼ってあり、古着風の迷彩柄ホットパンツは、目立たないまでもカレー染みが付いている。



一瞬そんなにカレーって跳ねるか?とも思ったが、一葉の気持ちだけ受け取っておく。



俺は鍋を金束子で洗いながら、野菜屑を片づけている一葉を見た。



いつもなら付け爪でデコレーションされている爪は、白く透明に落とされている。



「一葉…そろそろ送って行くか?」



何故か無口になる二人。事務所でなら一葉のガッコの事や、母親との事に多弁になる一葉…。



その空気に耐えきれなくなり、一葉の細白い腕を掴んで家を出る。



送って行く途中も、家に着いてからも何も話さない二人は、無言のまま別れた。



俺の胸は一つ鼓動を打つ度に引き裂かれるように痛む…。




…真美。
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