なんでも屋 神…第一幕
夜逃げ決行当日、昼から松の工場に行って、アコードの最終チェックを行う。



俺の急な注文を受け、昨日は徹夜でアコードを仕上げてくれらしく、松は夜までに体力を回復する為、それまで眠るという事でそのまま工場を後にする。



俺も事務所に戻り、自分の持ち物の最終チェックを行った。トランシーバーの通話確認を済ませ、ベレッタのマガジンに弾を一発ずつ込める。



本来ベレッタ9000Sのマガジン容量は12発。それを一発だけ先に送り、安全装置を掛ける事で容量ギリギリの13発にする。



暫くグリップの握りを確認して納得したら、後は夜まで地図を見ながらルートのシミュレーションを繰り返す。



一度や二度通ってみたかったが、もう時間が無いので仕方ない。上の高速はNシステムが有るので通れず、下の道で県を二つ超えなければならない。


幾ら天ぷらナンバーで偽装したと言っても、念には念を入れたい。それに、もし三谷組の奴らに見つかって追いかけられでもしたら、エンジンのチューンもフレーム補強も行っていないアコードでは、上の道は分が悪すぎる。
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