なんでも屋 神…第一幕

駅には着いたが、そうそう都合良く電車がある筈も無く、暫し駅のホームで待機する。



二人でほぼ同時にタバコに火を付けて一服した…約半日ぶりのタバコは肺を少し驚かせたが、その旨さは格別だった。



ホームに置いてある自販機でコーヒーを買い、軽く祝杯のようなものをあげる。



緊張から解き放たれた俺達は、安心感から少しウトウトし始めた。



そこへ、二車両しかない電車がホームへ滑り込んでくる。



重い足を引きずりながら電車に乗り込み、ガラガラのベンチシートに身体を横にすると、自然と二人共眠りに吸い込まれた。



窓の外には、季節外れの日本海が壮大なパノラマを広げているが、今の俺達にそんなものを観賞する余裕は無い。



何本か電車を乗り継いだが、ベンチシートに座ると泥のように眠る俺と松。




この時俺はまだ知らなかったのだ…自分達の街では、裏社会の勢力地図が、大きく変貌を遂げようとしている事を…そして俺は自分の意志に関わらず、それに巻き込まれてしまう事を…。