time
・・・海斗とはあの後・・・
「うん。あたしたちも仲良く帰ったよ。」
クラスの男子にひやかされて、海斗とはすぐに別れて帰ったなんて、
幸せそうなあいちゃんを目の前にしては言えない。
言ったら、あいちゃんは自分のせいだと思い悲しむと思ったから。
「じゃぁ、またね。」
と、それだけ言って自分の教室へと急いだ。
今のところ海斗をみかけてはいない。
きっとまた、皆で話し込んでるのかな。
教室の扉を開けた瞬間、怒鳴り声が響いた。
「ふざけんなよぉぉぉお!!」
目の前で起こっている事がよく分からずに立ち尽くしていると、亜美が走って来た。
「美絵ッ、机の上・・・」
亜美に言われたとおりに見ると、そこには1枚の紙が置いてあり乱雑な字でこう書かれていた。
――― 矢島海斗&東野美絵 公園でデート
2人仲良く手をつなぎ、キスを!!―――
下を見るとあたしたちがキスをしている絵があった。
「なぁ、東野。お前ら付き合ってるんだもんなぁ~」
教室中がざわめく。いろんな声が聞こえてくる。
――やっぱりあの2人付き合ってたんだぁ・・・
――キスしたんだね。
――サイテーじゃんか、あいつ
「お2人さん。もう1度すればぁ~?キス。」
「くくっっ・・・あはは~!!」
何がおかしいの?
何にもしてないのに、そんなに面白いことなの??
その紙をすぐに破いた。
細かく、細かく。
必死になりすぎて、切れてしまった。
指から血がにじんでいる。
バラバラになった紙を急いでゴミ箱に捨てた。