time
美絵は、机に顔を伏せて小刻みに震えている事しか出来なかった。
海斗、さっき言った言葉は本当の気持ちでしたか?
あたしの気持ちは迷惑でしたか?
昨日までの平凡な生活はどこにもない。あるのは、勝手に思い込んでいる噂と、みんなの冷たい視線。
今は誰の言葉も信じられないよ。
そんな姿を見て、
何も言わずに背中をさすってくれている亜美。
亜美は、優しいね。
話していること全てが
嘘に聞こえてしまうことを分かっているから、何も言わないで
そっと傍にいてくれてるんだよね。
嬉しかったよ。
でも、話したら壊れてしまいそうだから、ごめんね。
結局、海斗は1日戻ってくることはなかった。
美絵だってこんなに辛いから、海斗はもっと・・・
本当にごめんなさい。
帰り道がこんなに淋しいものだと感じたのは初めてだった。
雨が降ってきた。
朝のニュースの予報では夜から降ると言っていたのに。
静けさがいっそう淋しさを増す。
強く降り出した雨は、嫌なことも、悲しいことも全てを流してくれるようだった。
けれど、現実は違う。
雨の中、傘も差さずに美絵はただひたすら走った。