チャットは運命 【実話】

何も言わない彼女に余計に腹が立つ。

「ねぇ」

「触らないで!」

腕を掴もうとした私の肩を力強く押した。

言いたいことはたくさんあったけど

なんとか気持ちを抑える。

辺りには冷たい空気が流れている

ようだった。

その沈黙を破ったのは私。

「・・・付き合っちゃえば、なんて

そんな簡単に言って良い言葉じゃ

ないでしょう」

冷たく言い放ち自分のクラスへと戻った。

その後実梨ちゃんがどうしていたかは

知らないけどきっと怒っただろうな。

「鈴音!」

教室に入ると沙綾が駆け寄ってきた。

「ごめんね、ちょっと

ムカついちゃって・・・」

それは良いから、と沙綾は私の腕を

引っ張り廊下に連れ出した。

「あのね、さっき鈴音が出てった時

私後追っかけてったんだ・・・でも

これは2人の問題だから私が行った

ところで何も出来ないってことに

気づいて教室戻ったの。

そしたらね、うちのクラスの

倉木さんと平岡さんがあの手紙

読んでた・・・」

すぐ奪ったんだけど、と沙綾は

俯いてしまった。

ちょっとまずいかもしれないとは

思ったが沙綾を慰める方が先。

「大丈夫だよ。きっと誰にも

言わないんじゃないかな」

正直それはないとわかっていた。

きっと明日にでも広まるだろう。

誰にも見せないでと書かれた手紙の内容

が広まれば、なんで約束やぶったの

と言われるのが落ちだ。
< 76 / 82 >

この作品をシェア

pagetop