チャットは運命 【実話】
沙綾が西崎秀を連れて戻ってきたのだ。
急いで来たのか二人とも
息が上がっている。
私はわけがわからなくなり
ドキドキすることも忘れていた。
私が何かを尋ねる間もなく
西崎秀は駆け寄ってきて私を
強く抱きしめた。
「え、ちょ・・・なんで」
慌てふためく私をよそに3人は
帰る準備を始めた。
「じゃ、鈴音も起きたし
俺らは帰りますかぁ~☆」
「鈴音また明日ね!」
竜歩に続いて沙綾と月翔も
保健室を出て行った。
やっと今の状況を把握した私は
西崎秀に抱きつかれた事実にただ
混乱する。
「お前、熱出てたらしいよ」
沈黙を破ったのは彼。
「え?あ、そうだったんだ」
私も早く帰りたくなってベッドから
出ようとした。すると
「まだ」
そう言って私の肩を抑えた。
「え?」
西崎秀の真剣な瞳を見たらなぜだか
動けなくなった。
「お前が梶ともめてるのはなんとなく
知ってたんだ。でも俺が何かしたら
あいつ余計に宮本のことを苦しめる
と思ったから俺なんにも出来なくて・・・」
西崎秀はうつむいてしまった。
どうしたら良いかわからなくなり
彼の腕を掴んで私は言った。
「私は平気だよ?
こうやって今もそばにいて
くれてるんだし」
自分で言っておきながらすごく
恥ずかしくなった。
こんな台詞・・・私彼女でも
なんでもないのに・・・。