君の声が聞こえる
「私、五年一組の秋山良枝っていうの!」
私の声に雅巳が立ち止まって私の方を振り返った。
「私、須藤雅巳、よろしくね」
にっこりと笑顔を向けられて、私は魂が抜けたような気がした。
子供心に、どこまでも綺麗で清らかな雅巳の笑顔に見惚れてしまったのだ。
おそらく、私はこの時に、雅巳という人間の魂に捕まってしまった。魅入られてしまった、と言ってもいいかもしれない。
私は、あの時に見せた雅巳の笑顔を一生忘れないだろう。
今から思えば、あれが私と雅巳の初めての出会いであり、生まれて初めて見る本当に美しいものだったのだから。
須藤雅巳は、私が出会った人間の中で、最も出来すぎた人間だった。才色兼備の上に、優しさ、と明るさまでプラスする事ができる。こんな人間を私は他に知らない。
美人で器用な彼女は、どんな事でも人並み以上にこなすだけの器用さと能力を持ち合わせて生まれてきた。天は二物どころか三物も四物も彼女に与えてしまった。
そんな彼女を、神様は他の人間と平等にするために、唯一にして最大の弱点を与えたのかもしれない。
雅巳は、そんな神様の意地悪で、ガラスのように脆くて壊れやすい心臓を持って生まれてきたのだった。
私の声に雅巳が立ち止まって私の方を振り返った。
「私、須藤雅巳、よろしくね」
にっこりと笑顔を向けられて、私は魂が抜けたような気がした。
子供心に、どこまでも綺麗で清らかな雅巳の笑顔に見惚れてしまったのだ。
おそらく、私はこの時に、雅巳という人間の魂に捕まってしまった。魅入られてしまった、と言ってもいいかもしれない。
私は、あの時に見せた雅巳の笑顔を一生忘れないだろう。
今から思えば、あれが私と雅巳の初めての出会いであり、生まれて初めて見る本当に美しいものだったのだから。
須藤雅巳は、私が出会った人間の中で、最も出来すぎた人間だった。才色兼備の上に、優しさ、と明るさまでプラスする事ができる。こんな人間を私は他に知らない。
美人で器用な彼女は、どんな事でも人並み以上にこなすだけの器用さと能力を持ち合わせて生まれてきた。天は二物どころか三物も四物も彼女に与えてしまった。
そんな彼女を、神様は他の人間と平等にするために、唯一にして最大の弱点を与えたのかもしれない。
雅巳は、そんな神様の意地悪で、ガラスのように脆くて壊れやすい心臓を持って生まれてきたのだった。