君の声が聞こえる
地図を片手に迷いながら辿り着いたそこは、本当に分かりにくい場所にあった。
大学の北門から入り、学生食堂の建物を通り過ぎ、付属図書館へ向かう。付属図書館の裏手に経済学部の校舎があるのだ。
北門を出た通りには桜並木があり、そこを通るだけでも一見の価値はある。
春休みのせいだろうか?学生の姿はまばらだったが、僕はそんな事は気にならなかった。
僕は別に人を見にきたわけではない。大学の空気というのを味わいたかったのだ。
経済学部の建物は新しくはなかったが、とてもしっかりした作りで、どこか人間くさい雰囲気が漂っていた。それを僕は好ましく思い、これからの生活に思いを馳せた。
三十分ほど大学の敷地内を散策して、キャンパスの空気を満喫した。
自分の学び舎になる経済学部の校舎をもう一度見て、満足した僕は、帰路につく事にして北門の方角に振り返った。
そこに彼女が立っていたんだ。僕から彼女の距離はせいぜい二、三メートルといったところだろう。彼女はどこか遠くを見ていた。
綺麗に澄んだ漆黒の瞳。
茶色くて短いウェーブがかった柔らかそうな髪。
肌は透けてしまうほど白くて、背はわりと高いのに、とても華奢な体つきをしていた。
大学の北門から入り、学生食堂の建物を通り過ぎ、付属図書館へ向かう。付属図書館の裏手に経済学部の校舎があるのだ。
北門を出た通りには桜並木があり、そこを通るだけでも一見の価値はある。
春休みのせいだろうか?学生の姿はまばらだったが、僕はそんな事は気にならなかった。
僕は別に人を見にきたわけではない。大学の空気というのを味わいたかったのだ。
経済学部の建物は新しくはなかったが、とてもしっかりした作りで、どこか人間くさい雰囲気が漂っていた。それを僕は好ましく思い、これからの生活に思いを馳せた。
三十分ほど大学の敷地内を散策して、キャンパスの空気を満喫した。
自分の学び舎になる経済学部の校舎をもう一度見て、満足した僕は、帰路につく事にして北門の方角に振り返った。
そこに彼女が立っていたんだ。僕から彼女の距離はせいぜい二、三メートルといったところだろう。彼女はどこか遠くを見ていた。
綺麗に澄んだ漆黒の瞳。
茶色くて短いウェーブがかった柔らかそうな髪。
肌は透けてしまうほど白くて、背はわりと高いのに、とても華奢な体つきをしていた。