君を愛す ただ君を……
「ま、まさか…考えすぎだよ」

「だといいんだけど?」

あたしは、越智君の腕をぎゅっと掴んだ

どうして疑問を投げかけるように言うの?

あたしの心を見透かしているみたいで、あたしこそ越智君が怖いよ

今日で最後って思っているあたしの考えをすっかり読まれているみたいに感じるじゃない

越智君に知られないように、私は姿を消して…越智君は……越智君は

あたしの指に力が入る

「俺に何か隠してるでしょ?」

越智君の低い声があたしの耳にかかった

「何も隠してなんか……」

「今日、学校に遅刻して来たって聞いたけど」

お願い…聞かないで

これ以上、あたしに質問しないで

笑顔で、越智君とお別れができなくなる

泣いちゃうよ

「あ…遅刻したのは、ちょっと体調がすぐれなくて。だから…」

「それだけ?」

「そうだよ。他に何があるの?」

「わからないよ。それを涼宮に聞いてるんだから」

あたしは首を左右に振った

「何もないよ」

「涼宮、声が震えてるよ? 嘘をつくのが下手なんだからさ。正直に話をしてくれよ」

越智君の息が耳たぶにかかる

優しいけれど、どこか冷たい声だった

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