君を愛す ただ君を……
「あの……愁一郎さんは…」

「そこら辺にいるんじゃない?」

みちるさんに、今日もレイちゃんは冷たく接している

みちるさんも、違う人に声をかければいいのに…なんて考えてしまう

レイちゃんも、苛々して冷たくなるならカウンターに座らなければいいのに

あたしは遠くで、レイちゃんとみちるさんのやり取りを眺めていた

「これ…あの…」

「はい、どうも」

みちるさんが差し出す茶菓子をぽいっとテーブルにレイちゃんは投げる

外来から帰ってきた越智先生の白衣が見えた

みちるさんが見えてないのか…越智先生はみちるさんの前を通りすぎてから、ナースステーションの中に入ってきた

「涼宮主任」

あたしの前に立つと、むすっとした表情であたしの顔を見下ろした

「カルテを仕舞っておけばいいんですか?」

「は?」

あたしは越智先生の手にあるカルテに視線を落とした

越智先生が手に持っているカルテを近くにあるテーブルに置いた

「そうじゃなくて…昨日、なんで…」

「みちるさんが待ってますよ」

あたしは越智先生の言葉にかぶさるように口を開いた

「あ?」

越智先生が振り返って、ナースステーションのカウンターに目をやった

みちるさんがにこっと嬉しそうにほほ笑む

「もう来んな…つったのに」

越智先生が、みちるさんに背を向けると面倒くさそうに顔を歪めた

「くそっ。話は後でするから。昨日のこと、きちんと説明しろよ、陽菜」

カルテを置きっぱなしにして、越智先生がナースステーションを速足で出て行った

みちるさんに声をかけることもなく、越智先生は医務室にほうに歩いて行ってしまった

なんで、怒ってるのよ


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