君を愛す ただ君を……
どういうこと?

大ちゃんとの婚約に…ていうか結婚に何か意味があったの?

大ちゃんと結婚すれば、お金の苦労しなくなるってこと?

このままだと、あたしは手術代がなくて、手術を受けられないのかな?

手術を受けられないなら、あたしはただ心臓を止まるのを待つだけになるの?

せっかく気持ちが前に向いても、お金がないなら……あたしは普通の人と同じような心臓にはなれないんだ

そっか…無理なんだ

あたしは、きっと手術を受ける資格がないって、神様にそう判断されたんだよ

階段をのぼりきったあたしは、壁にコツンと頭をつけた

「駄目…なのかな」

越智君とのクリスマスのデートはできないのかも

ううん、できたとしても健康体でのあたしじゃない

死を待つあたしと、最後になるかもしれないクリスマスデートってことだね

「陽菜? どうした?」

部屋から出てきた大ちゃんが、心配そうな顔であたしに近づいてきた

あたしは慌てて、笑みを作ると大ちゃんに微笑んだ

「ううん。なんでもない」

大ちゃんは、あたしの前で足を止めると、前髪に触れてきた

「平気そうな顔をしてないよ。何か、あったの?」

言えないよ

大ちゃんには言えない

お金がなくて、手術は無理かもしれないなんて…言えるわけがない

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