DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「暴動になりそうな原因は?」
何気なく問い掛けたジュードの言葉に、コートを羽織り、身支度を整えていたミカエルの手が一瞬止まった。
「……負傷したディラハン兵を医者がかくまってるのを、町民が出せと騒いでるんだって。軍は捕虜として収容したいみたいだけど」
少しの間を置いて早口で答えて、ミカエルは一気にコートのファスナーをあげると
「とにかく行ってくるから」
そう言って、足早に部屋を出て行った。
心なしか荒い音をたててドアが閉まるのを黙って見送り、階段を駆け下りていく重いブーツの音に耳を澄ます。
その音が遠ざかっていくのを聞きながら、煙草をくわえて火をつける。
吐き出され、ゆっくりと立ち昇る紫煙がゆらゆらと不安定な動きを見せるのを眺めると、何故か胸の奥底がざわつくのを感じて、ジュードは瞼を閉じた。
(馬鹿げてる……)
ざわつきをおさめるように、言い聞かせる。
何の心配もいりはしないのだ。
相手は民間人。
対するは
(天下の守護天使様だぞ……)