DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
だけど……
「でも、ディーバ様は笑ってくれる」
武器を持たないほうの手の親指を軽く口に含み、その先端に歯をたてる。
落ち着かなくなると指を噛む癖。
軽い痛みで、自分を安定させようと、無意識のうちにそうしてしまう。
機械の腕。
でも感覚は人のそれと変わらない。
痛覚があるかないかでは危機回避能力に大きな差が出るし、全ての感覚を失った手では力加減や微妙な所作に影響が出る。
だから、鋼鉄の骨組みの上には神経が通う人工の肉と血。
それを人間の皮膚とほぼ変わらない見た目と感触を備えた形状記憶の人工皮膚で覆って腕を形作っている。
元々の機能を損なうことなく、戦闘時には人間の能力をはるかに超える優秀な働きをする人工の腕。
その先端。
武器を振るうための、握るための指先を、人間の子供と変わらぬ仕草で、ウリエルはカリカリと噛む。