DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


ちりり、とした小さな刺激を遠く感じながら、思いは王宮にいる唯一慕う人物へと向かう。

「あなたは、今日から私の子供です」

初めてその前へと進み出た時、そう言って微笑み、抱きしめてくれた。

任務を終えて報告へあがれば

「良い子ね、ウリエル」

そういって、その白く美しい手で頭を撫でてくれる。

僅かに残った過去の記憶の欠片。

それの何処を探しても、自分にそんな笑顔を向けてくれた顔はない。

優しく頭を撫でる手の感触も残ってはいない。

そんな記憶は気配すら感じることがない……いや、元からないのだ。

だから、思い出すことすらないのに違いない。

ウリエルはそう思っていた。


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