DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



「……かわいい……ありがとうね。レン」

かわいらしい表情をした木の実が差し出した手の平に落とされ、コロコロと転がる感触に。

ああ、そういえば今日は自分の誕生日だったと、ぼんやりした頭で思い出す。

「さあ、出来た。ルーシーほら座って座って」

鍋を覗き込んでいた母が振り返り、にっこりと微笑んだ。

その声に促され、片方の手に握っていたものを近くの窓際の壁に立てかけレンの隣へと腰を降ろす。

程なくしてテーブルの端に鍋を置いた母も、棚の上から愛用している小さなロザリオを手に取り、椅子に腰掛けた。

ロザリオを握り目を閉じた母に習い、ルーシーとレンも両手の指をしっかりと組み、額に当てて目を閉じる。

「天にましますわれらの父よ……」

いつも食事前に神に捧げられる、感謝の祈り。

恒例の儀式を終えると

「さ、食べて、ルーシー。今日で16歳ね」

そう言い、母は忙しく料理を皿に取り分けはじめた。



< 482 / 729 >

この作品をシェア

pagetop