DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
鍋から皿に注がれたシチューが目の前に置かれると、暖かな湯気と食欲をそそる香りがふわりと立ち昇る。
隣に座るレンの嬉しそうな声。
他にもテーブルに並べられた料理は、最近の普段の食卓では考えられない数。
母が自分の誕生日のために随分と無理をしてご馳走を用意してくれたのは容易に想像がついた。
「昔着てたドレスを売ったの、当分いらないでしょう? 誕生日くらいおいしいもの食べなきゃ」
そう言う母に促され、戸惑いながらもスプーンを手にして、そっとシチューをすくう。
口元へそれを運びながら、目の前に一つ空いた空席へ視線を泳がせた。
空の皿が置かれたその席は、兵役で戦地へ向かったまま連絡の絶えた父の席。
随分と会っていない為におぼろげになってきたその顔の記憶。
それを思い出そうとするルーシーに同調するかのように、隣でレンが無邪気な声をあげた。
「パパも一緒に食べれたらよかったのにね」