DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
何時の間にか、先ほどまで感じていたぬくもりは消え去っていた。
今空間を支配するのは、凍えるような冷気のみ。
頬を伝う涙の温度もすぐさまそれに熱を奪われ、冷たく心まで冷やす。
今、ルシフェルを支えるのは、再びその手に握られたものの感触のみ。
自分の目にこれから映るであろう光景を思い、それを見たくなくて、見るのが怖くて……瞼を上げられない。
床に散らばる料理と、割れた食器。
そして、崩れた瓦礫の下敷きになった……
「……っ」
今ではもう鮮明に思い出せるその光景に、ルシフェルは大きく肩を震わせ手の平を強く握り締める。
そんなルシフェルの背後で、ふと、静寂を破る音。
誰かが歩み寄る、足音。
俯き瞼を閉じたままのルシフェルに、聞こえるはずのない声がかけられた。