DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


声の限りに叫んで、息を切らして目の前を見据える。

とめどなく溢れる涙が、胸元を握り締める手の甲に落ちた。

胸元には、布地を挟んでその下に、ロザリオがある。

今、目の前の足元に落ちているものと同じ形をした、けれど、血に汚れ黒く変色した……

本物の、母の遺したロザリオが。

「そう……そうね。忘れていたわ」

目の前の幻影が笑う。

と、途端にその額から赤黒い液体が流れ出し、みるみる間に顔から体へと滴り落ちる。

同時にメキメキと嫌な音を立てて。

異様な方向へと母の腕が捩れ、体がぐにゃりと曲がる。

隣に立つ弟、レンも同様で。

青い綺麗な眼球が落ち窪み、餓鬼のようにやせ細っていく。

血に汚れ、おどろおどろしくその姿を変えて尚

「私たち……死んだのよね?」

その場に立ち微笑む母。クスクスと笑い声を上げる弟。

そのあまりの痛ましさとおぞましさに、じり、と剣を構えたままルシフェルは後ろへ下がる。


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