DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


ファーレンは咄嗟に振り返り、階下の兵士を手招きした。

「……? 隊長、どうかなされましたか?」

呼ばれて上がってきた兵士は首を傾げる。

彼はまだ異変には気付いていない。

「要塞内にいる兵たちを集めてすぐにここから出なさい」

「え?」

「いいから、早く」

パニックに陥らせてはいけない。静かに、だが、有無を言わせぬ強い口調でファーレンは兵士に言い聞かせる。

「隊長は……? 一体何が起こってるんです?」

それでも戸惑いがちに問い掛ける兵士。

「俺は大丈夫。ちょっとね、嫌な予感がするんだ。俺はウリちゃんと一緒に後から行くから。いいね? 急いですぐにここから離れるんだ」

そう言ってファーレンは兵士の肩を押す。

「上官命令だよ」

突き放すように言葉で威圧すると、兵士はただならぬ気配を察したのか、すばやく敬礼をして階段を駆け下りて行った。

「間に合うといいけど……」



< 504 / 729 >

この作品をシェア

pagetop