DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



ごく普通に、あたりまえかのように紡がれた言葉。

けれど、それは当然ファーレンにはぴんとこない。

「魔物……?」

眉根を寄せ、そう言うのがやっとだった。

伝承や書物ではよく目にするとはいえ、実際にそんなものがこの世に存在するなど考えたことも無い。

実際にそれを目にしたという人物に会ったこともなければ、自身が目にしたことももちろん無かったのだから。

けれど……

たった今、自身の目でみた現象。

それもまた、通常では考えられない現象であることに違いない。

(まさか。本当に?)

信じられない思いで、目の前で見聞きしたことに思考を巡らせていると


――ザリッ


足元から砂利を引っ掻くような音がして、ファーレンは大事なことを思い出した。

「……くそっ……おまえなんか、おまえなんか……」

すぐ傍らで、地面に伏したまま。一本のみ残された腕だけで、それでも懸命に地に爪を立て前進しようとするウリエルのもがく姿が目に入る。

「ウリちゃん!!」


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