DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


心配そうな表情の二人にむかい、アンナは力強く笑って見せた。

「なあに、大丈夫。神様はちゃんと見てる。牧師さんとジノが拾った命をむげにすることはなさるまいよ」

「本当に?」

ジノが首を傾げる。

「ああ、そうさ。神様はいつだって正しいことをする人間の味方だ。ジノがあの男を助けたいと思ったのだからきっと大丈夫」

そう言ってアンナはジノの頭をぽんぽんと叩いて、そのままくしゃくしゃと撫でた。

「そうですよね。神のご加護がきっとあります」

その様を見ていたランスも笑みを浮かべ、胸元で小さく十字を切る。

この二人のように、皆が穏やかならば争い事もそうは起こらないだろうにとアンナは思う。

この二人とて戦争の被害に逢っていないわけではないのだ。

それでも怪我を負った敵兵を迷うことなく助けようとここまで連れてきた……その心の広さ。

神に仕える聖職者であるランス。けれど彼だって沢山の人々を救えず土地を追われ胸を痛めている。

そしてジノは……

アンナはジノの片足をちらりと見る。

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