DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



(傷を負ってるのは皆、同じ筈なのにな……)



身体の傷。心の傷。

どちらもつらく、その痛みはなかなか消えるものではない。

皆、その痛みを知っているはずなのに、何故同じ痛みを人に与えようとするのか。

外の騒ぎを思いアンナは溜息をついた。

それは傷を癒す行為ではない。

更に傷を広げる行為だというのに……

(神よ。いるのならどうかお守りを)

アンナは医者だ。

救えず消えていった命も度々見ている。

嘆き悲しむ家族の苦しみをごくごくそばで見ることも少なくない。

曖昧な存在である神の存在を普段は疑うことすらある。

それでもランスやジノを見ていると、そんな存在にすら祈りたくなる。

どうか彼らを守って欲しいと。

心清らかな羊を見捨てないでやってくれと―――



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