DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―3―)



細い路地を埋め尽くす人の群れの最後尾。入り口近くにいた男は前の様子を見ようと懸命に首を伸ばしていた。

夕刻に噂を聞きつけここに来た頃にはすでに人で溢れかえっており、目的の診療所に近づける状況ではなかったが、そのまま帰ることも出来ずにもう数時間もここに居る。

診療所のガーフィールド医師は金がなくとも診てくれる。退役した後も尚痛む古傷の痛みを和らげる薬は欠かせない。

痛む膝のせいでなかなか十分な金を稼ぐことが出来ない身に、それでもいいと、後払いでいいからと快く薬を出してくれるのもこの診療所くらいのもの。

世話になっている。感謝している。

けれど、見過ごすことは出来ない。

よりにもよって、その傷をつけた元凶であるディラハンの兵をかくまっているという。

医師に恨みはなくともそれとこれとは別の話だ。

憎き敵国に受けた傷のせいでまともに働くことも出来ず、そのせいで妻や子も離れていってしまった。

身体に残る痛み。胸にあいた穴。

その苦しみと虚しさを晴らす格好の相手が今、目の前にいるというのだ。



早くそいつを出しやがれ。


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