DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


確かに未完成の部分もあるだろうし、目に見えない不安要素を懸念してるのかもしれない。

だが、現状でもそれらの不安を拭えるほどの働きはしているし、充分にテストの成果もだしてきたのではないか?

すぐに敵国へ送り込んでも、ある程度満足を得られる結果をだせるくらいの力は証明されている。

少なくとも……人民による軍隊よりは遥かに戦争自体の終結を早めることも出来るだろうに……

「お前こそこをどけよ!! 中の奴は俺らがもらう」

叫ぶ男の後ろで、誰かが屈むのが見えた。一回り小さな身体の少年が何かを拾おうとしている。

石を拾って投げようとしてるのだと、容易に想像はついた。

ミカエルはそれでも身動き一つせず、じっと口をつぐんでドアの前で佇む。

反論はしない。けれど、ここをどくつもりもない。

この若者らにディラハン兵を渡すわけにはいかない。

彼らは知らない……まだ、知らないのだ。自らがしようとしていることの意味を、自分達の望んでることの意味を。

かつての自分自身がそうだったように……

石を拾った少年が腕を振りかぶるのが見えた。

投げたければ投げればいい。

譲ることは出来ないけれど、その痛みをほんの少しほど受けるぐらいなら出来る。

それぐらいしか、今は出来ないから……



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