DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
再び場が騒然となってきたにもかかわらず、微動だにせず無言をつらぬくミカエルの様子に気をとられオロオロとする憲兵たちは気付いていない。
ひゅっ、と風を切る音は聴覚の発達したミカエルにのみ届いた。
よけるのは簡単。
けれどそうはしない。
真っ直ぐに自分目掛けて飛んでくる、子供の拳大の石をミカエルはじっと見つめる。
その視界をつと、横切るモノ。
(……?)
バサバサと、羽音が聞こえると同時に目の前を黒い羽根が舞った。
そして、コツンとブーツに石が当たり跳ねる微かな音。
目の前を通り過ぎた鳥の翼に当たったとでもいうのか、ミカエルに届くはずだった石くれは勢いを失い地面に転がり落ちた。
「言われ放題だな、おい」
いつの間に。声を聞いた瞬間に傍らに立つ気配があることに気付く。
「え……?」
良く知る気配。その声。
顔を横に向ければ黒いコートに滑り落ちる闇色の髪がゆらりと揺れて、広い背がミカエルを庇うかのように前へと進み出た。