DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


ミカエルも彼がそういう種だということは理解している。

理解した上で一緒にいる。実際にジュードがあの場で彼らを襲わせてもそれはジュードにとっては何の罪の意識を伴うものではないはずなのに。

そしてミカエルが彼をどう思おうとも、彼にとっては何でもないことのはずなのに。

「何、それ」

おかしい。実にジュードらしくない。

けれど……何故か口の端が緩む。クスリと笑みを漏らしながらミカエルは一歩前へでて、ジュードの正面へ立った。

そのまま、小首を傾げながらジュードの顔を下から覗き込む。

「ところで……なんでここにいるの?」

血色の悪い薄い唇から漏れる紫煙越しに見下ろす目と視線を合わせる。

そう。それが一番の疑問。

ひとりで行くからと置いてきたはずなのに……嘘みたいにタイミングよく現れたジュード。

まっすぐに向けられたミカエルの目線に捉えられたジュードの目がすう、と細められる。

「暇だっただけだ」

いつもの調子でぶっきらぼうに寄越された答え。けれど、すぐに視線をそらしたその仕草に、ミカエルはわかってしまった。


それが嘘だということに――


だから、それ以上は追求しないことにして一言だけ言うことにする。


「ありがとう」


黒髪の隙間から覗く深い蒼に映る自分の笑顔。その表情に懐かしさを覚える。

そんな笑顔は今の自分にはとても似合わないものだと……必要ないものだとは知っているけれど。

それでもミカエルは、何故かひどく満たされた気持ちだった。





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