DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
あたりさわりなく返した答えに、車掌はニヤニヤとして思いもよらない反応をよこす。
「いや……そういうわけでは……」
苦笑しながら否定すると
「何。恥ずかしがらんともいいさ。皆、若いうちは想い人の一人や二人おるもんだ」
それが余計に誤解を深くしたようだ。すっかり恋人に会いにいくのだと思いこんだのか、何やら楽しげにうんうんと一人で頷いている。
よっぽど退屈していたのか。それとも自分の若い頃のことでも思い出したのだろうか。
その様があまりに楽しげなので、それ以上の否定はやめることにする。しばらく機嫌よく目を細めていた車掌だが、その顔が窓のほうへと向いた途端、不意に笑みが口元から消えた。
「会える時にしっかり抱きしめてやるといい。今度はいつ会えるかわからんのだし、会えるとも限らんからな」
ぼそりと呟き、伏せた顔は一転してどこか苦しげな表情だ。何故、車掌が急にそんな表情を浮かべたのかが分らずアレックスは首をかしげる。