DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「ああ、すまんね。辛気臭い話をしてしまった」
顔を伏せたアレックスの気配に気付いた車掌が振り返り、気まずそうに慌てて謝罪する。その言葉に顔を再び上げると
「あんたみたいに若い兵隊さんに会うことも最近はなかなかないからね。つい、昔のことを思い出してしまったよ」
車掌は帽子のつばを直すような仕草を見せながら、決まり悪そうに笑っていた。
「さっき止まった駅のやつに聞いたんだが、夕方近くに国境付近の空でえらく眩しい光が見えたそうだ……もしかするとまた敵さんが新しい爆弾か何かを使ったんじゃないかって客が噂してたらしい」
そう言って席を立ちながら車掌はアレックスの肩にぽん、と軽く手を乗せ
「わしらの頃と違ってあんたら今の軍人に兵役の期限はない。余計にいつ急に誰かと会えなくなるやもわからんというものだ……休暇は存分に楽しむといい」
少し気の毒げな表情でアレックスに微笑みかけると、肩から手をおろし席を離れた。
その丸まった背を見送るアレックスを、次の車両へ続くドアの手前で一度振り返る。
「良い旅を」
一言残し締まったドアに向け、アレックスは静かに頭を下げた。