DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


やがて徐々に列車は減速していき、高い塔のようなものがそびえる建物へと、煙を吐きながらその長い車体を滑り込ませていく。

がたがたと、やや荒い振動とともに停車した車両から降り立ったアレックスは、人気のない構内をまっすぐ突っ切り出口へと向かった。

『カラヤ中央駅』と表示された木製の立て看板の横をすり抜け屋外へ出る。

構内に限らず、外にも歩いている人影は見当たらない。駅の入り口の上にある時計を見ればもう深夜近い時間。

ガーフィールドの娘夫婦がやっている診療所はこの近くのはずだが、こんな時間に訪問したところで、もう就寝しているだろう。

宿でも探して明日訪ねるか、そう思い、時計から目を逸らそうとしたのだが、視界の端にアレックスは何かを捕らえ、そのまま上空へと視線を巡らした。

(……なんだ? あれは)

駅の明かりが薄らと照らし出す夜空に、移動する幾つもの影。

(…………鳥?)

黒に覆われた空と同じ色だったためにすぐには気が付かなかったが、よくよく見れば、尋常ではない数の黒い鳥の群れがどこかへ向かい飛んでいた。

異様な光景に視線が釘付けになる、それと同時に鳥たちが飛んできた方角に思い当たるものがあり、ハッとした。

列車の中、眠りに落ちる前に何度も地図で確認した場所。そう、あの方角にガーフィールド縁の診療所はあるはずだ。

(まさか……)




< 584 / 729 >

この作品をシェア

pagetop