DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
ジョセフの台詞にランスが頷く。
暗くて見えないだけで、本当は死角にはまだ民衆が残っていて、こちらがドアを開けるのを息を潜めて待っている可能性も否めない。
「どうする?アンナ」
困った表情でジョセフがアンナに訊ねる。もしも患者で、すぐに入れない理由があって外にいるのなら、それもそれでほおっておくのもどうか……というのもある。
この診療所のボスはアンナだ。ごくごく普段どおりに、ジョセフはアンナに決断を求めているにすぎない。
「そうだねえ……」
アンナはうーんと唸りながら顎に手を当てて考えこんだ。迂闊な判断は下しがたい状況。
先ほどまでの民衆の様子のままならば、危害はディラハン兵だけではなく匿ったアンナ達にまで及びかねない勢いだったし。
それは仕方なくとも、まだ子供のジノに危害が及ぶようなことがあってはならない。
ランスとジョセフの視線を受けながら、アンナが俯き考えていると
「あれ?」
不意に、ジノが声をあげた。ひとりカーテンからまだ外を覗いていたジノの声に三人とも窓の方へと注目する。
ジノがあげた声の意味はすぐにわかった。