DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



「まさか……な……」
 
ちらりと衝立の方へアンナは視線を流す。あの奥でまだ痛みにうなされているディラハン兵。

仲間が追ってきたのでは……

「すみません」

アンナの思考は、不意にドアを軽く叩くノックの音と共に外から聞こえた声に断ち切られた。

若い、男の声。

ドアに耳をつけていたジョセフが慌ててそこから飛びのく。

「こちらはガーフィールド診療所で間違いありませんよね」

丁寧に訊ねる声が、皆が息を呑んで静まり返った部屋に響く。

どうする? と強張った表情でアンナに無言で訴えかけるジョセフに、アンナも無言で頷き返す。

「……そうだけど、何の用だい? 一応、わかるとは思うが今日はもう診療時間はとっくに過ぎてるよ」

緊張した声で、アンナはその声に答えた。すると、すぐに外の人物はそれを否定する答えを返す。

「いえ、そうじゃないんです。アルマのガーフィールドさんから届け物を……リリスさんの、お母さんですよね?」

「……へ……?」



< 598 / 729 >

この作品をシェア

pagetop