DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「そうは言われても困ります。私も王室からの勅命でここに来ています。騒動の鎮圧とその兵士の身柄の確保。それが私がここにいる理由です」
「確保というが……連れ帰ればどうせ殺されるのだろう? 少し前までは捕虜の扱いはもっときちんとしたものだったと聞いてるが、今は捕虜施設すら撤去されているらしいじゃないか。なら、捕まった捕虜はどうなっている? 釈放しているとはとても思えないが」
アンナの言葉をアレックスは黙って聞いていた。反論の余地はない。アンナの言っていることは事実だ。辺境の地の民間人でも知っている事実。
当然アレックスも知っている。そう、捕虜収容施設は随分前に撤去されている。
「……多分。貴方の推測どおりです」
ミカエルは無表情に淡々と事実を答えた。
捕らえられた敵兵が祖国の土を二度と踏むことはない。拷問にかけられ、持ちうる限りの情報を搾り取られた後どうなるか……
直接手を下さずとも、連れて行かれた兵士達の姿を二度と見ることはない。それが意味することは少し考えれば分かること。
ただ、それがあまりに当たり前の事実として認知されているため、そんなことを考えたことなどない。
そんなことを考えたとてどうしようもないこと。
決められた歯車の中で決められた目的のために働く手足にすぎない兵器に、それが生み出す結果や細かいところまで考える余地などありはしない。