DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
でも……けれど……
「確かにそうなんだろうよ! 全く……軍人ってやつは……そうなんだろうけどさ。だけど、そんなに命ってのは簡単に捨てれるものなのかい? あんたにだって国に待たせてる家族がいるんだろう!!」
助けたくとも助けられない命を悔やみきれない思いで何度も見送ってきたアンナにはやはり納得など出来ない。
「自分の命を捨てるということはあんたが大事にしていた者達を捨てるのと変わらないんだ。違うかい?」
「ああ……」
アンナの視線に気付いた男は自分の胸元に目を落とす。首から下げられたチェーンの先に揺れる楕円形のトップ。
「悪いけど、治療中に中身が見えちまったんだ。家族の写真だろう?」
痛みで男が暴れた拍子に開いたペンダントトップの中にあった写真。まだ歳若い女性が腕に赤子を抱いていた。
その隣にはもう一人幼い男の子の姿。
敵だって人間には違いない。家族もいる。愛し愛され……どちらかが失われれば嘆き悲しむ。それは自分達と何も変わることはないのだ。
だからこそ、余計に。
助けたいと思った。無事に帰してやりたいと……
「そうだ……だが、もう会うこともない」
ぽつりと呟き、男はペンダントを握り締める。寂しそうな表情を一瞬見せたが、その口から零れたのは決別の言葉。
ただただ現実だけを見つめた言葉。
アンナは唇を噛み締める。